勝手にレビュー29:暁Recordsの11thアルバム『Sci-Fi ROMANCE TRAVELER』

「おい、B’zのクソレビューはどうした」ですって?
まあそんなに慌てなくてもええやないですか。最近、稲葉ソロのレビューにばかり力が入っている気がするんで、たまには違うジャンルの文章書いてリフレッシュしないと。

今回は、東方projectボーカルアレンジサークルである暁Recordsの、秘封倶楽部オンリーアレンジアルバム第二弾のクソレビュー書きます。
歌詞重視、メロディ軽視と、B’zの時とレビュー方法は変わってません。上から目線なのも相変わらず。

暁Records『Sci-Fi ROMANCE TRAVELER』2017年8月11日


1. アルフ・ライラ・ワ・ライラ 4 / 5 点

アップテンポ・ナンバー。
『こちら秘封探偵事務所』という二次小説とのコラボ曲。
暁Recordsの特徴に「とにかく歌詞をありったけ詰め込む」というのがあるが、この曲にもそれが反映されている。
「意味がない」とされていることに意味を見出す、「〇〇バカ、〇〇マニア」の生き様を叩きつける。
ちょっと調べたらすぐにわかるが、『千夜一夜物語』の原題が「Alf Layla wa Layla」とのこと(wikiより)。
物語が入れ子構造でメタフィクションな秘封倶楽部に、非常にマッチした曲名だと思う。

『バカバカしい』って捨てられたモノに そこにきっと世界の秘めごとが踊っているんだから


2. Sci-Fi ROMANCE TRAVELER 5 / 5 点

ミディアム・バラード。
蓮子とメリーがかけ合うように歌唱される曲。この曲に限らないが、一人二役のStackの、微妙な演じ分けが驚異的。
歌詞は、「ロマン」に対する憧れや探究心を描く。科学の、オカルトの、未知へのロマンがごちゃ混ぜになって紡ぎ出される。これぞ秘封倶楽部。
これも調べればすぐ出て来るが、「Sci-Fi」とはSFの定義の一つ。普通の「サイエンス・フィクション」や、J.G.バラードのような「スペキュレイティヴ・フィクション」といった細かい定義ではなく、広範な意味を含む造語とのこと(wikiより)。藤子・F・不二雄の言う「すこしフシギ」に近い感じなのだろうか。
つーか、未熟ながらSFオタク自称している僕でもSci-Fiなんて単語知らんかったぞ。Stackって何者……。いや、単に僕の知識がまだまだ浅いだけか。

夢想意識のパラダイス 光超えて旅して 帰り道は忘れないで……まあ忘れてもいいけどね!
よく言うわ!


3. 奇奇怪怪 〜Bizarre and strange〜 3 / 5 点

ハイテンション・ポップ。
Stackの声は、萌え曲を歌うときのような高めのあざといのを、少しがなり立てた感じ。それにしても、Stackの声域ほんとに幅広いな。嫉妬しちゃうわ。
幻想郷への憧れをコミカルに歌い上げる。Aメロで、妖怪連中の特徴がギャグ漫画みたいな感じで盛り込まれている。「人魚のお寿司」て……。
ネタ曲じみた作品だが、歌詞(とくにサビ)は結構、核心を突いていたりするから好き。

現実のスピード超えて夢見よう


4. ANSWER LINK 3 / 5 点

暁Recordsお得意の、王道シリアスロック。
こういう系統の曲のStackは、男らしい声になるのがお決まり。その声がまたカッコいいのだ。
蓮子とメリーの絆がテーマで、ストレートな題材。
王道の割には、今作の中で一番地味という印象がぬぐいきれない。メロディも歌詞も、真っ当すぎるからなのか?他の曲のアクが強く、結果的にこの曲が浮いているのか。

目に映る世界も夢の中だって きっと嘘でも私たちは繋がり行くんだ


5. My Love, All Love For You 3 / 5 点

ラップ+AOR。
SOUL’d OUTのごとく英語と日本語が入り混じるテンポの良い歌詞が、聴いていて心地いい。
二人の友情を可愛らしく歌う。友情にしては、「愛」だの「大好き」だのといった歌詞が多い気が……。Stackは平気でレズ要素を放り込んで来るから、油断できない。
これは単なる邪推だろうか。女の友情ってこんなもんなのだろうか?

毎日毎晩のように君がくれたものを眺めているよ


6. 空論アウトロウ 〜Welcome to Ghostly Field Detective Office 4 / 5 点

王道シリアスロック。
1曲目と同じく、こちらもコラボ曲。
導入部に、アニメOPのナレーションじみた語りが入っている。
歌詞は、「謎」に立ち向かう二人の焦燥感や勇気と、多次元世界を渡り歩くロマンを上手く組み合わせている。
今作の中で最も男らしいStackの声を拝める曲。それと、全体的に雰囲気が『名探偵コナン』ぽい。

今日も今日とてまともじゃいられない 今度はどんな知見を得るだろう?


7. Bon Voyage! 5 / 5 点

まったりナンバー。
6thアルバム『神様Stories-INNOCENT- -to the beginning 06-』の会場限定おまけCDからの再録。暁Recordsは、会場限定商法を今すぐやめるべき。
列車の車窓に映り込む、現実と虚構が入り混じった風景にウキウキしている二人がイメージされる歌詞。
ほのぼので牧歌的な旅情感が出ているのが、実に良い。今作のハイライト。

走れ、走れ 限りある時間を 生きて、生きて いずれ終わる世界を 早く、早く でもたまには歩きましょ 君と、君と 寄り道をしながらね


8. ヒカリナナイロ 3 / 5 点

デジタル・ポップ。
幻想的な遊園地で舞い上がっている二人が微笑ましい曲。Stackの声も可愛い。
可愛いだけならまだいいが、やはりレズっぽさが見え隠れする。一応、二人は大学生って設定のはずだが、↓みたいなことやって乳繰り合ってるんだもの。

ストローは二本 カップは一つ そういうことね あからさますぎるけどね


9. オルゴール・メリー 4 / 5 点

デジタル・ロック。
いいしれない焦燥感と不穏な空気に包まれている。
「真実は私自身が選ぶの」と宣言しつつ、所詮は儚い「夢の世界」に絶望する様子を描く。蓮子とメリーの望まざる別離が想像される。
神林長平などの虚実ないまぜ型のフィクションによくある、「自分が信じた世界こそ自分にとっての現実だ」という結論を否定するような歌詞。
「どれだけ体交わせたって」って、もしやレズセックスしちゃった?Stackって、女の割には、こういうレズ表現をたびたびぶっこんで来るからびっくりする(レズ好きな女って、BL好きな男みたいなもんじゃないですか。え、全然違う?)

君が見つけてくれるまでは きっと私は『いなかった』んだね


10. 私たちのあやまち 4 / 5 点

ゆったりバラード。
人としての限界を超えたことが、二人の罪のようだ。
歌詞を見る限り、蓮子とメリー死んでもうとるがな。まあ、秘封倶楽部に死亡エンドは定番だが。
死んだというよりは、もはや生物ではなくなった感じか?なんにせよ、あの世でも二人一緒でよかったっすね。
なにげに宇宙の情景描写が半端なく美しい曲。

まっすぐ、まっすぐに突き詰めた境界 裏側にはね 知ってはならないオズの魔法の種明かし 薄い天幕


総評 : 4 / 5 点

捨て曲なし。レズ臭いアルバムです。
秘封倶楽部好きで、Stackのクセの強い声に我慢できるなら、食わず嫌いせず聴いてみてはいかがでしょう。ま、人気のアーティストって何かしらクセが強くてなんぼなとこありますけど。
これからも、暁Recordsとかの作品レビューはやっていく予定です。