勝手にレビュー10 : B'zの4thミニアルバム『FRIENDS』

これからの寒い季節にぴったりなミニアルバムです。今作はアルバム全体を通してストーリー性を持ったつくりになっており、曲順=ストーリーの時系列順という具合になっています。松本のギターも稲葉の歌声もやたらとしっとりして、ムーディな雰囲気作りに成功しています。

それと今更ですが、僕は楽器の知識や演奏手法などに詳しいわけではないので、レビューはどうしても稲葉の歌詞表現に注目しがちなものになることを了解いただければ、と思います。

B’z『FRIENDS』1992年12月9日


1. Friends 1 / 5 点

インスト。ストリングス(ギター以外の弦楽器による演奏)オンリーでの開幕は、今までテクノやらロックやらでブイブイいわせてたB’zとはあまりにもギャップがある。


2. いつかのメリークリスマス 3 / 5 点

代表曲。恋人へのプレゼントも買ってワクワクしてたけど、クリスマス当日かその後に別れちゃったみたいです。まあいいんじゃないっすか。非モテの僕には、クリスマスソングなんてこんな感じの評価です。


3. 僕の罪 4 / 5 点

しばらくギターが泣いた後、ガラスが割れるSEから始まるオサレな曲。前曲からしばらくして再会したようだ。主人公は未練タラッタラのご様子。
「完全に 僕の罪なんだ 罪がはじまってくりかえす」なんて浪花節のキザったい歌詞なのにかっこいいのは、稲葉だからこそ成せる業でしょうか。
「しっかり君をつかまえろと 誰かが僕に囁くけど 何かが違うと感じるのは 僕がただ臆病なだけなのか」っていう歌詞が良い。非モテの心を抉ってくる。


4. Love is… 3 / 5 点

次曲の導入部の役割的なインスト。メロディが良いので、インストだけど例外的にこの評価。なかなか焦らせよる。
そして…。


5. 恋じゃなくなる日 5 / 5 点

きたきたきたきた。今作のハイライト。このアルバムには珍しい派手なイントロから始まり、再会した恋人二人の微妙な距離感を見事に歌い上げていく。
「小さな貝殻にひとつずつ絵を描いて おもいでを砂に埋めてゆく」という歌詞がお気に入り。
ぶっちゃけ全部の歌詞が好きなわけだが、全て載せるのもなんだかなあって感じ。


6. SEASONS 1 / 5 点

穏やかなギターのインスト。


7. どうしても君を失いたくない 4 / 5 点

スローテンポだけど雰囲気は明るめ。あれから1年後の冬のようです。
ところどころ今までの曲と対応した歌詞が登場する演出が上手いしニクい。
具体的には、
2曲目 : 「少しだけ懐かしい夢を見た 僕が走る夢を」
3曲目 : 「二人のことに蓋をして生きるとか 激しく憎みあって忘れるとか」
5曲目 : 「恋じゃなくなることは 人を裏切ることになるのか」、「あの日の砂の上で踊ろう 過ぎゆく日々に手をふって」
最後は「君は目覚め出かけてゆく 変わらない街のひとごみの中に」となるわけだが、二人は別れたのか、それとも「君」は単に外出しただけなのか、この辺りを曖昧にさせ聴き手の想像に任せてるのも小賢しい。と思いきや…。


8. いつかのメリークリスマス(Reprise) 1 / 5 点

2曲目のショートインスト。そしてまた12月がやってくる(まさかのループものですか?)。
冗談はさておき、恋人と別離した内容の曲を(インストバージョンとはいえ)わざわざもってきているということは、結局二人は別れた可能性が高い。泣ける。


総評 : 4 / 5 点

ストーリーテリング能力という稲葉の新たな才能が開花した作品。傷心中の人間が聴いてはいけない鬱アルバム。