勝手にレビュー32 : B'zの16thアルバム『ACTION』

何故おれはコードじゃなくてワードを書いているのか。

B’z『ACTION』2007年12月5日


1. 純情ACTION 4 / 5 点

初っ端から暑苦しい。
間奏の「ACTION」連呼がウケる。

じっとしているだけなら それも大きな罪


2. 黒い青春 5 / 5 点

ジャズ + ハードロック。
社会不適合者にとっての神曲。稲葉生来の卑屈さに松本のイケイケなメロディセンスが調和すると、こうなる。
いちいちネガティブなセリフを挟んでくるところが、たまらなくいじらしい。

きみのことがね好きですたぶん ボクに点数つけないから


3. SUPER LOVE SONG 4 / 5 点

あいかわらずな曲名センス。ultraときて今度はsuperか。
その甘そうな曲名とは打って変わって、ゴリゴリのハードロック。ドラムが馬鹿みたいにかっこいい。

わかり合いたいなどと たやすく言わないよ


4. 満月よ照らせ 3 / 5 点

バラード。
歌詞は、いじめについて。加害者側の一人が次なる標的になっていく。
救いがないラスト。完全にバッドエンドでもないけど。

目覚めていればもうちょっと何かわかる なんだか不思議じゃないか?


5. パーフェクトライフ 5 / 5 点

ポップとハードが非常に高いレベルでかみ合っている。
自分の弱みに向き合いながらも高みを目指す、その過程こそがパーフェクト。
今更だが、稲葉の歌詞は全面に渡ってポジティブってわけではなく、どこかしら絶対に卑屈さをしのばせている。
それが、稲葉に共感しやすい理由かもしれない。

パラドックス抱いたまんま 力尽きるまで


6. 一心不乱 4 / 5 点

松本の学生時代を想像しながら書いたような歌詞。
己の技能を淡々と研ぎすませていく、ある種狂気的なギター少年を描く。
自分の人生を捧げてもいいようななにかに出会ったら、この曲を聴くといい。

街の騒音に惑わされるなら 時を忘れがむしゃらにひきこもれ


7. FRICTION -LAP2- 2 / 5 点

全英詩曲。
シングル版のほうが好き。


8. ONE ON ONE 3 / 5 点

ミディアム・バラード。
1対1のコミュニケーションを、バスケになぞらえて表現。

まどわされないで 誰が夢を描きかえようとしても


9. 僕には君がいる 2 / 5 点

ピアノ主体の静かなバラード。
こういう曲の場合、稲葉の鶏声と壊滅的に合わない。90年代みたいに低い声で歌ってくれりゃいいのに。

生きてゆけばいいんだと


10. なんという幸せ 4 / 5 点

ブラス・ロック。
ワーキングプアの男が、愛する家族のためにだんだん壊れていく。
最悪な結末しか想像できない歌詞が、笑えてくる。

海辺の観覧車のっかって 必ず手渡すからね


11. わるいゆめ 5 / 5 点

失恋曲。
自暴自棄なメロディながらも、退廃的なムードを帯びている不思議な曲。これは前曲にもあてはまるが。
「薬箱」だの「虫歯」だのいちいち庶民的な表現がされているが、それが逆に生々しい不快感を伝えてくる。

肝をひやすスリルが欲しい そういうこと言ってるやつはみんな その先にある平和が欲しい 毛布のような平和が欲しいだけだ


12. HOMETOWN BOYS’ MARCH 4 / 5 点

ポップで平和な軍歌。
テーマは見たまんま、故郷から出ていく仲間を見送る歌。
身内で盛り上がっている、いい感じのゆるさ加減がよい。

旅立つアナタに今送ろう ガラクタ鳴らしてバイバイのマーチ


13. 光芒 5 / 5 点

王道バラード枠その1。
B’zとしては非常にめずらしく、大サビが用意されている。
大サビの語り手は誰なのかによって解釈が分かれる。
神様視点なら、それまでの暗い歌詞が一気に救われるし、主人公なら、当の主人公自身は救われない。

月日を重ねるほどに知る 足りないことだらけの現実


14. トラベリンメンのテーマ 3 / 5 点

ネタ枠(ってほどでもないけど)。
13曲目よりもゆるい。お気楽な曲。光芒の後にこれって、どうなんだ。

行ったり来たりの珍道中ライフ


15. オレとオマエの新しい季節 4 / 5 点

ラテン調。どういう季節やねん。
メロディが進行するごとに、曲調が徐々に激しさを増していく。
ふざけた曲名のクセに、それがやたらとかっこいい。

昨日より今日 明日より今日 いつも今のオマエを見よう


16. 永遠の翼 4 / 5 点

王道バラード枠その2。戦争がテーマの曲。
歌詞は割と平凡。なのに、稲葉が歌うとなんだかすごく鬼気迫るものがある。

いつかくる優しい未来を 胸に描き信じながら はばたいてゆこう


17. BUDDY 3 / 5 点

テーマはB’z自身のことだろう。
20周年を翌年に控えていた、当時の彼らの想いがつまっている。
そんな曲なのに派手なメロディじゃないのが、B’zらしいっちゃらしい。

ここから走り出しゃいいよ


総評 : 4 / 5 点

前作から見事に盛り返したアルバム。
17曲もあるからか、中だるみするのが欠点。気合を入れすぎたか。