勝手にレビュー18 : B'zの2ndベストアルバム『B'z The Best "Treasure"』
僕はゆとり世代のくせに、音源データや電子書籍には目もくれず、CDや紙の本などといった無駄に空間を占領するアナログ物体の購入を優先しています。コレクター気質な人間なので正直非常に邪魔なのですが、それでもやはり心の奥底の「デジタルデータはいざという時に消失してしまう」という怖れから抜けきれず、本日も宝のゴミ達に囲まれながらブログをせっせと書きます。
『銀盤』です。ほぼシングル曲で埋め尽くされていた『金盤』とは違い、こちらはアルバム曲やB面曲の目立つ、ややマニアックな選曲がウリです。といっても、改めて見直してみれば14曲中7曲がシングルではありますが。
B’z『B’z The Best “Treasure”』1998年9月20日
1. BLOWIN’ 3 / 5 点
デジタル・ロック。
サウンドでここまで「吹きすさぶ風」を表現しているのは凄い。
かたちのない答えを探して終わらない旅をする
2. 恋心(KOI-GOKORO) 4 / 5 点
ポップなブラス・ロック。
『IN THE LIFE』の雰囲気が色濃く残っている。
おちゃらけた歌詞と切ない歌詞を混ぜ合わせることで、学生の心情を表現している。
どうしよう 授業の内容は こんなとき ぜんぜん使えません
3. TIME 5 / 5 点
B面なのに王道バラード枠。
A面か、最低でもアルバム収録されるレベルの曲だというのが、B’zマニアの間では腐るほど言われている。
「君」と一緒に過ごした過去と、「君」と別れた現在を反復しながら悲しみを伝える歌詞は見事。稲葉は大学時代を横浜で過ごしたからか、この曲のように港町が舞台になることがままある。
どうすれば時が過ぎる 言葉はいつも役に立たない
4. Liar! Liar! 5 / 5 点
『SURVIVE』収録。レビュー済み。
5. ねがい 5 / 5 点
ジャジー+ロック+ポップ。
アレンジ版ではなく、この原曲こそを『LOOSE』に収録すべきだった。
軽快なメロディで聴き手を夢へと駆り立てる応援歌。
『いつのまにか』じゃない 自分で選んで歩いてきたこの迷路
6. 愛しい人よGood Night… 5 / 5 点
『RISKY』収録。レビュー済み。
7. Pleasure'98 〜人生の快楽〜 5 / 5 点
原曲はB面の「Pleasure'91 〜人生の快楽〜」。この曲はライヴで数年おきに演奏されており、その度に2番の歌詞が変わっていっている。CD音源化されているのは「‘91、‘98、2008」の3曲。
徐々に時間が過ぎて成長していく主人公とその仲間達が、将来の不安や希望に翻弄される姿を数回のアレンジに渡って描いていく。
勝手知ったる少ない仲間と 敵だ味方だとさわいでる 止まれないこの世界で 胸を張って生きるしかない
8. ミエナイチカラ〜INVISIBLE ONE〜 4 / 5 点
ミディアム・バラード。
あまりにも爽やかで切ないメロディと歌詞。朝焼けの風景にぴったりな曲。
歌詞は、人と人とを繋ぐ「想い」について。そうした目には見えない力学が、人や社会を動かす。その実体のない何かを見ようとするのが、科学やフィクションや芸術のお仕事(先生からの受け売り)。
ソーシャル・ネットワークが発達した現在の視点だと、この曲の歌詞が以前とは違ったように感じてくる。
何も大したことじゃないよ そばにいても離れていても
9. もう一度キスしたかった 4 / 5 点
『IN THE LIFE』収録。レビュー済み。
10. FIREBALL 3 / 5 点
『SURVIVE』収録。レビュー済み。
11. Real Thing Shakes 4 / 5 点
全英詞のメタル・ロック。
稲葉の声がやたら高音な曲トップ3。ぜひとも『SURVIVE』か『Brotherhood』に入れて欲しかった。
歌詞は、社会情勢に振り回される男のぼやき。世紀末当時の日本の空気が感じ取れる。90年代好物の人間は、世紀末が大好き。ポスト・アポカリプスも大好き。ノストラダムス万歳。
Real thing shakes me like the rain in a storm
12. MOTEL 4 / 5 点
ブルース+ストリングス+ロック。
罪悪感を抱きながら略奪愛に生きる、哀れな男の感情を垂れ流す。自分の罪を忘れようとしたり正当化しようとするも、良心に苛まれ続け途方に暮れる。
勢いないぬるいシャワーで体を洗い流して ただの独りよがりの禊ぎ
13. いつかのメリークリスマス 3 / 5 点
『FRIENDS』収録。レビュー済み。
14. RUN -1998 style- 4 / 5 点
『RUN』表題曲のアレンジ。メロディも稲葉の声も派手になり、原曲よりレベルが上がっている。
15. HOME 3 / 5 点
シークレット・トラック扱いの曲。
一番だけ、しかもボーカルとギターのみの編成。それでも、原曲とはまた違った良さが溢れている。
B’zはメインが二人だけだからか、路上シンガー風の演奏がべらぼうに様になっているので、こういったアレンジの曲をもっと作って欲しい。
総評 : 4 / 5 点
どうせこのアルバムも100円だか200だかで売っているので、B’z初心者の人は入門用に『金盤』とあわせて購入してみてはいかがでしょうか。あ、今は配信サービスが主流か。でもそれだと、1曲100円とかじゃないのですか。現物ならその10倍のボリュームで同じ値段ですよ、ほれほれ。