勝手にレビュー16:七緒香の1stアルバム『七音』
「七緒香ってだれよ?」ってな話ですが、1997年〜2000年まで活動していた女性シンガーで、実はデビューから約1年間、松本孝弘がプロデュースしており、B’zと関連性の深いアーティストの一人なのです。
活動期間は短く、数曲のシングルと2枚のアルバムを作成した後は業界から身を引いています。ボーイッシュで美しい歌声、高レベルの容姿と、ポテンシャルは揃っているのに数年でフェードアウトしてます。
今回はそんな、B’zマニアには有名だけどB’z初心者はまず知らないであろう、七緒香の1stアルバムをレビューします。作曲はぜんぶ松本、作詞はぜんぶ七緒というB’zスタイルです。
七緒香『七音』1998年1月28日
1. 灼熱の花 4 / 5 点
スタンダードなロックナンバー。
声以外はもうすでにB’z。
普段は姉御肌な人間が気になる男性を目の前にすると、無口になったり心にも思ってない言動やっちゃったり、要は今でいうツンデレの心情を語った歌。
一途なんてアタシには似合ってなんかないけど
2. Fake my mind 4 / 5 点
ブラスロック。
陽気で明るめ。この雰囲気はB’zの『LOOSE』に近い。
20歳前後の女性目線で、仕事や恋愛についての愚痴を軽快に歌う。
「このまま真っ直ぐ帰らすの? 明日は休みだよ 欲望が顔中出まくってるよ」ってセリフ、心にとどめておくだけじゃなく、ちゃんと声に出して言ってください。僕みたいな雑魚キャラは自分からだと行動できないのです……。
とにもかくにもサァ人生楽しもう 3/4ぐらいは残ってる
3. 街 5 / 5 点
ロックバラード。
叙情的なギターが非常に印象的な曲。
都会に出てきた女が、故郷の男との愛を反芻しながら新たな環境に立ち向かう、という歌詞。七緒自身の境遇と重ね合わせていそう。
都会ってすごい人多いよね……。田舎で調子こいていても、全国的に見れば自分は中の下レベル(もっと下かも)だってことが痛感させられるのだもの。
*無限の夢で溢れる街は中途半端じゃ通用しないと 心に刻み込んだら 今はまだ諦めない(
4. いーんじゃない!! 2 / 5 点
ポップロック。
歌詞はとくに響かない。良い点は耳に馴染むサビぐらいか。メロディありきの曲。
5. アノヒト 3 / 5 点
バラード。
男を振ったことに後悔する女の悲哀を綴る。B’zで例えたら『FRIENDS』のような感じ(主人公の立場が性別を抜きにしてもかなり違うけど)。稲葉の歌詞と比較してみたら、それぞれの性格の差異が表れていて面白い。
慣れてた日常 今すぐに壊すこと 簡単にできるわけないね
6. 夢の翼 4 / 5 点
バラード。
雲の上を飛行しているかのようなメロディに、希望溢れる歌詞を添えた応援歌。
「傷ついた時は そっと包んで癒してあげたい」って歌詞をストレートに書けちゃうあたりに、七緒の姉御肌っぷりが出ている。これが稲葉の場合だと、もう少し遠回しな愛情表現を使ってくるところ。
輝いて昨日よりも 翼を広げて
7. 恋は舞い降りた 5 / 5 点
疾走感あるポップでロックな歌謡曲。
90年代の雰囲気が出まくっていて、90年代という時代そのものに対する信者にとってはテンションが駆け上がる一品。このキャッチーさは、もろに90年代のB’z。というより、90年代のJPOP。
歌詞は、よくある運命の恋について。平凡な歌詞ながらも、七緒の歌唱力と松本の作曲力によって何もかもが高水準にまとめられている。
恋は舞い降りた 今度こそは譲れない
総評 : 4 / 5 点
松本ありきの作品ながらも、このまま音楽業界にいつづけたなら、歌唱力も作詞力もさらに磨き上げられてとんでもない存在になっていたかもしれない可能性を考えると、惜しい人材を失ったなと思う今日この頃です。
それと、音楽なんて文字通り「音を楽し」めばいいのに、歌詞ばかり必要以上に読み込んじゃって、ボーカルの声や楽器の演奏を素直に楽しめなかったのが今回のレビューの反省 点です。ていうか、今まで書いてきたレビュー全てに、このことが当てはまるのではないでしょうか。文学派モドキ人間の駄目な 点が表れています(でもまあ、これが僕のスタイルなんだからしょうがない、って開き直ったら許してくれるでしょうか)。
次はB’zに戻ります。500万枚売れたとかいう『金盤』やります。